伊東宣明 個展 『人生で一番美しい』

伊東宣明 個展『人生で一番美しい』

有限の身体と死
同志社女子大学ラーニング・コモンズギャラリーは、2018年5月30日(水)から6月15日(金)まで、伊東宣明氏の個展『人生で一番美しい』を開催いたします。
氏は、「身体」「生/死」「精神」といった生きるうえで避ける事のできない根源的なテーマを追求しながら、映像作品やインスタレーション作品などを発表している美術家です。
本展は、20歳前後の男女10数名がカメラを前に、一様に同じように「今、私は人生で一番美しい」と、1000年後の鑑賞者に向けて宣言する映像によって構成されます。1000年後も劣化しないデジタルの映像によって構成された本作は、逆説的に有限の身体を意識させることで「死」を炙り出す事を試みます。

カテゴリー
作品展示
会期
2018年5月30日(水)ー6月15日(金) 9:30〜19:30
土日休館
会場
同志社女子大学 ラーニング・コモンズギャラリー
(京田辺キャンパス聡恵館1F)
対象
一般
観覧料
無料
主催
同志社女子大学 メディア創造学科
お問い合わせ
同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科事務室 TEL: 0774-65-8635

伊東宣明(Nobuaki Itoh)氏 プロフィール

1981年奈良生まれ、京都在住。2016年、京都市立芸術大学大学院美術研究科博士後期課程修了。博士(美術)。「身体」「生/死」「精神」といった生きるうえで避ける事のできない根源的なテーマを追求し、映像やインスタレーション作品を発表している。近年の主な個展に「アートと芸術家」(WAITINGROOM、東京、2016年)、「アート」(愛知県美術館 APMoA Project ARCH、名古屋、2015年)、グループ展に「牛窓・亜細亜藝術交流祭」(牛窓地区/尻海地区、岡山、2014年、2017年)、「GRAVEDADCERO」(Matadero Madrid、マドリード・スペイン、 2015年)、「レゾナンス 共鳴 人と響き合うアート」(サントリーミュージアム、大阪、2010年)など国内外多数。

REPORT

2018年5月30日(水)から6月15日(金)にかけて、同志社女子大学ラーニング・コモンズギャラリーにおいて、伊東宣明氏の展覧会『人生で一番美しい』が開催された。2週間程の会期中には多くの鑑賞者が来場し、作品から非常に大きな刺激を受けたであろう。

これまで伊東氏は「身体」「生/死」「精神」といった、私たちにとって根源的なテーマを追求し、それらを映像やインスタレーション作品として発表してきた。本展覧会に出品された映像作品『人生で一番美しい』でもまた、鍵となるテーマは私たちにとって不可避なもの、「死」である。この作品では、20歳前後の男女10数名が、カメラを前にして一様に「今、私は人生で一番美しい」と宣言する。そしてその宣言の向かい先は、この映像作品を観る1000年後の鑑賞者だと言う。理論上、1000年後も劣化しないであろう(言わば無限の)デジタルの映像によって構成された本作は、逆説的に有限の身体を意識させることで「死」を炙り出す事を試みている。

ただし、伊東氏はそうしたことをたった一つの映像で表現するのではない。会場には鑑賞者を取り囲むように複数のモニターが設置されており、そのモニターには「今、私は人生で一番美しい」と発するいく人もの被写体が現れる。被写体の姿と声は、モニターごとにランダムに、しかし何らかの法則を持って出現し、その映像と音響は独自のリズムを生み出す。また時として、各モニターの映像と音響は一つに合わさって(合わさったように感じさせ)、観る者に対し「今、私は人生で一番美しい」を強烈に刻み込んでくる。そのことで鑑賞者は、「美しさ」とは個別的な経験でありながら、他方で普遍的な経験でもあることを理解するであろう。それは、様々な生の方法を展開しつつも、やがては同じく死を迎えてしまう私たちのあり方とリンクしているようにも思えるのだ。

伊東氏の映像作品の特徴のひとつは、同一の方法を保ちつつ別の時間・空間で再制作されることである。言い換えればシリーズ化されることである。同志社女子大学ラーニング・コモンズギャラリーの封切に合わせて、新作として制作された『今、私は人生で一番美しい』は今後どのように再制作されていくのか。同志社女子大学ラーニング・コモンズギャラリーでの多くの鑑賞者がこの作品の今後に注視してもらえればさいわいである。

松谷 容作