もりゆか作品展『あこがれ衣食住』

もりゆか作品展 『あこがれ衣食住』

いつも描きたくなるものは自分が昔から知っているようで実は知らない縁側だったり、50年代くらいの服だったり、こたつにみかんだったり。現代に生まれていてもノスタルジーを感じずにはいられない愛嬌のあるものたちに対する憧れを絵にすることで、自然にストーリーが生まれます。そんな風にして出来た過去の作品や、現在制作中の絵本やイラストを展示することで私が愛する世界を共有してみたいと思います。

カテゴリー
作品展示
会期
2018年6月25日(月)ー7月6日(金) 9:00〜20:00
入場=閉館の30分まえまで 土日休館
会場
同志社女子大学 mscギャラリー
(京田辺キャンパス知徳館6号棟1階C163)
入場料
無料
主催
同志社女子大学 メディア創造学科
お問い合わせ
同志社女子大学 学芸学部 メディア創造学科事務室 TEL: 0774-65-8635

もりゆか氏 プロフィール

1991年生まれ。 滋賀県出身。2016年 京都市立芸術大学大学院修士課程 日本画専攻 卒業。2012年の第一回白泉社MOE絵本大賞佳作受賞をきっかけにイラストレーターとして雑誌や絵本の分野で活動している。2018年7月には自身にとって初の絵本作品「京都 和のなぞなぞ絵本(文・石津ちひろ)」が白泉社より発売予定。その他、台湾でのワークショップや屋外でのライブペイントなども行なっている。

REPORT

mscギャラリーにもりゆか氏の作品が並んだ2週間、そのスペースがとても暖かく優しい雰囲気に包まれているように感じた。
寓話・物語の一つのシーンを切り抜いたような絵、好きな文房具をモチーフにしているイラスト、雑誌から依頼された街案内の図、どれを取り上げても氏の肉筆が出ている。
不思議で愛着を感じ、懐かしいようで新鮮な作品。多くの若手イラストレーターがデジタルで作品作りをしている現在、氏は手描きにこだわっている。
レポートに代わり、もりゆか氏に質問を5つさせていただきましたので、ご紹介します。

Q:ご自身を動物に例えるとしたら?(理由も教えてください。)

A:よく自分のことはウサギに例えてイラストの中に登場させますが、たまたまウサギが描きやすかっただけで、自分に合うから選んだわけではありませんでした。なので例えるとしたら、難しいですがクマがいいかなと思います。私も寒いと冬眠したくなりますし、鮭も木の実も好きなので。

Q:フランス留学や台湾でのワークショップ、海外で得たものは何ですか?

A:フランスに居た時は、特に自分のイラストで何か仕事をしたわけではありませんでしたが、絵本屋さんに行ったり、絵本作家の方と話したりする機会があり、刺激を受けました。なかでも、ジェラール・ロ・モナコさんというポップアップ絵本の作家さんのアトリエを見せていただく機会があったのですが、彼の仕事の多様さに驚きました。お会いするまではポップアップの絵本作家という印象だったのですが、ポップアップの技術を使った現代美術の展覧会の図録やCDジャケットの制作など、様々なことをされていました。フランスは特に「絵本は子供に向けて作るものだから子供がわかるものにしないといけない」というような既成概念があまりなく、アーティストそれぞれの魅力が絵本であれ、絵画であれ表現されていればそれでいいというような印象を受けました。

台湾でのワークショップは参加者の方達とフリーペーパーを作るという内容だったのですが、私はとにかくその時間は参加者全員を動物に例えてイラストにするので精一杯でした。ワークショプ以外にも、お客さんを動物に例えて似顔絵を描いて販売もしたのですが、思いの外たくさんの方が来てくださり、絵柄も気に入っていただけたようで嬉しかったです。 台湾の人たちが思う可愛いという感覚は、日本人と近いように感じました。日本のイラストレーターさんのグッズもたくさん販売されていて外国に来ているという感覚はそれほど強くはなかったです。印象的だったのは、カリグラフィーの作家さんのグッズが人気だったことです。 特によく見かけたのは何景窗さんという方の作品で、イラストでもなくグラフィックデザインでもなく手書きの文字の魅力というのを改めて感じることができました。

Q:もし、タイムマシンで旅ができればいつ、何処へ行き、何をしますか?

A:未来を知ってしまうのは面白くないので、過去。行くならやはり明治から昭和にかけての日本を見たいです。小津映画のような、和服を着ている人と洋服を着ている人が混在していて、日本の伝統や文化の中に西洋の文化が入ってきてそれをみんなが受け入れつつ楽しみつつ、融合しきれていないあの空間にとても興味があります。

Q:インスピレーションは何処から来ていますか?

A:「懐かしさと匂い」だと思います。私は平成3年生まれなのですが、小さい頃に身の回りにあった昭和からあるようなもの達に妙に惹かれます。洗練されているというよりは庶民的な素朴なものが好きで、例えば今回の展示のために描いた作品にもあるアイスクリームを売る冷凍庫などがそうです。今も使われていることもありますが、見かけることは減ったと思います。広告入りのベンチなどもそれです。よく考えると今回展示した作品にある、雪印牛乳もコカコーラも新世アイスクリームも全てロゴと赤と青という色、そして懐かしさに惹かれて思わず描いてしまったという感じです。ロゴでいうと、今も変わらないカロリーメイトのデザインも好きです。 
あと、描きたくなるのは匂いを感じさせるような空間です。例えば、おばあちゃんの家に染み付いた蚊取り線香の匂い、昔ながらの喫茶店のタバコとコーヒーの匂いもそうです。
自分の中にある匂いの記憶と合うモチーフを選んで絵を描くことは多いです。

Q:何の制限も無しに(テーマ、メディア、時間、収入)作品創りを依頼されたら、何を制作したいですか?

A:やってみたいのは旅の絵日記や、自分の好きな場所や物を自分の視点で観察して絵と文章にして本にすることです。 妹尾河童さんの「河童がのぞいた」シリーズや山本容子さんの「パリ散歩画帳」などが好きで、作者の正直なものの見方や、価値観が伝わってくる本は見ていてホッとします。
それを自分のイラストや自分の文章でやるとどうなるのか、見てみたいなと思っています。

できれば旅先などでのスケッチも墨と筆でやりたいのですが、なかなかそこまでやれたことがありません。

(メディア創造学科 髙木毬子)