呼吸する空 –breathing sky–
- 2025.02.05
- ニュース

呼吸する空 –breathing sky–
森 公一 + 真下 武久
art work
木村 静
research
《呼吸する空 –breathing sky– 》は、呼吸を通じて身体と地球を接続する体験型作品の試みである。
本作ではギャラリーの中央にキューブ状の部屋を置き、部屋の外壁には雲の流れる空の映像を投影することで、あたかも大気で作られた「空の家」とでも言うべきオブジェを出現させる。部屋の内部には、霧の発生器と呼吸センサーを設置し、体験者の呼吸に連動して目前の霧の流れに変化を起こす。また外壁に投影する雲についても、体験者の呼吸のリズムに連動してその動きが変化する。こうして、呼吸による息の出入を霧や雲の流動=大気における気流の変化へとリンクさせて、身体と地球の接続へと導く。
私たちが暮らす地球の表面には、重力によって宇宙に拡散することのない空気の層、すなわち大気が存在する。普段実感することはないが、私たちは、窒素78.1%、酸素20.9%、アルゴン0.93%、二酸化炭素0.03%、水蒸気その他約1%の「大気の海」に浸りながら、大気中の酸素を身体に取り入れてエネルギーを生成し、その過程で作られた二酸化炭素を大気へと吐き出している。まさしく私たちは「大気を呼吸」して生きているのである。
しかし地球が誕生して長らく、地球の大気に酸素はほとんど含まれていなかった。今から25億年前から約23億年前にかけて、海中に発生した大量の藻類(シアノバクテリア)が光合成を行ったことで、「大酸化イベント」と呼ばれる事態が起こり、大気中の酸素が急激に増加したと言われている。46億年に及ぶ地球の歴史を振り返れば、酸素を吐き出す生き物すなわち「光合成を行う生命」の繁栄こそが、酸素を活用する生き物すなわち「呼吸する生命」の繁栄を促し、共存共栄したことがわかる。一方、酸素濃度の上昇は大気圏にオゾン層の形成をもたらした。オゾン層は、生命にとって有害な紫外線を吸収する地球のシェルターである。このシェルターなしに、人類を含む多種多様な生物が陸上に存在することはなかった。
私たちが今ここに存在し呼吸していること、この当たり前の事実は、地球史における大気組成の変化がもたらした奇跡なのだ。自らの呼吸と大気の運動を関連づけることによって、地球(環境)と身体(生命)との根源的な繋がりを再発見する契機としたい。それこそが本作品の意図するところである。
- 会期
- 2025年3月7日|金| - 12日|水|(月曜休廊)
OPEN 11:00-17:00
*3月7日|金|は、難病患者の方の予約を優先させていただきます。 - 協力
- 和泉 美枝、眞鍋 えみ子、長谷川 昇、The Third Gallery Aya、NPO法人てんびん、 STUDIO AQA
- 助成
- 同志社女子大学研究助成金(共同研究)
- 会場
- 堀川御池ギャラリー2F ギャラリーB 入場無料
604-0052 京都市中京区油小路通御池押油小路町238‒1 - 注意事項
- ギャラリーには、一般利用者の駐輪場・駐車スペースはございません。自転車・バイク・車でのご来場はご遠慮ください。
公共の交通機関をご利用いただきますようお願いいたします。 - LINK
- https://mori.mashimolab.com/breathingsky/