藤本由紀夫講演会「HERE&THERE – 見ることと聞くこと – 」
2008年度 第1回 情報メディア学科講演会
- カテゴリー
- 講演会
- 開催日時
- 2008年5月28日
- 場所
- 知徳館 1F C131
- 講師
- 藤本 由紀夫氏
講師プロフィール 藤本由紀夫 FUJIMOTO Yukio
1950年 名古屋生まれ1975年 大阪芸術大学音楽学科卒業
個展
1997-2006 「美術館の遠足」(西宮市大谷記念美術館、兵庫)2006 「HERE & THERE」(名古屋市美術館、愛知)2007 「ECHO-潜在的音響」(広島市現代美術館、広島) 「哲学的玩具」(西宮市大谷記念美術館、兵庫)「+/ー」(国立国際美術館、大阪)
グループ展
2001 第49回ヴェニス・ビエンナーレ(カステロ公園、ヴェニス)Facts of Life : Contemporary Japanese Art (ヘイワード・ギャラリー ロンドン) 2004 マルセル・デュシャンと20世紀美術(国立国際美術館、大阪横浜美術館、神奈川)2007 第52回ヴェニス・ビエンナーレ(アルセナーレ、ヴェニス)「関係-FUJIMOTO and,RELATIONS-」(和歌山県立近代美術館、和歌山)
REPORT
情報メディア学科mscギャラリー「藤本由紀夫展」の関連イベントとして、アーティスト・藤本由紀夫氏を招いて講演会を開催しました。
若い頃スタジオで電子音響を制作されていた氏は、やがて日常に存在する音とモノの関係、”聞くこと”と”見ること”の関係へと思考を転回し、さらには音が鳴り響く空間、音を聞く耳の構造までも創作の手掛かりとしていきます。アーティストの意図を超えて作品が成立することを積極的に受け入れながら、鑑賞者と作品の関係を新たな方向へ導いていく藤本氏の態度からは、20世紀の偉大な芸術家であるマルセル・デュシャンへの傾倒を伺うことができました。
今回は情報メディア学科での講演会ということもあり、藤本氏から未来の情報発信者である情報メディア学科生へ向けての提言として、音の排除された風景・建物・出来事がいかにリアリティーを欠いているか、ここ(here)にある音とそこ(there)にある視覚対象の組み合わせ(または断絶)が、私たちの認識と深く関わり、時には容易にその認識を変更してしまうという例を挙げられました。情報発信者の意図的あるいは無意識なメディア操作の危うさ、ものごとを冷静に深く聞くことの重要性を指摘され、刺激的な内容の講演となりました。
参加者約130名