近代は印刷からはじまる −印刷の歴史と業界のお話−
2009年度 第2回 情報メディア学科講演会
- カテゴリー
- 講演会
- 開催日時
- 2009年6月3日(水)
- 場所
- 知徳館1F C131
- 講師
- 中西 秀彦氏 (中西印刷株式会社専務取締役)
講師プロフィール 中西秀彦
『活字が消えた日:コンピュータと印刷』(晶文社・1994)でお馴染み、創業慶応元(1865)年の京都の老舗印刷屋さんの若旦那。JPIC「読書アドバイザー養成講座」の講師を務めたり、2008年度には国立国会図書館の「電子書籍の流通・利用・保存」に関する委嘱研究のプロジェクトチームに参加するなど、その活動は多岐に渡る。
主要著書に『印刷はどこへ行くのか』(晶文社・1997)、『印刷屋の若旦那コンピュータ奮闘記part2』(印刷学会出版部・2002)、『本は変わる!』(東京創元社・2003)、『活字のない印刷屋』(印刷学会出版部・2006)などあり。
REPORT
1865年(慶応元年)に京都の寺町で創業した中西印刷株式会社は、一般的に保守的とさえ言われる印刷業界にあって、都度、時代に応じた印刷様式を選択してきました。印刷業者にとっては心臓とも言える版式を変えることは、その移植手術と同様、並大抵のことではありません。しかし、中西印刷は百四十年の歴史の中で、四度、その版式を変えています。木版、活版、平版、そして最新のオンデマンド。これら四つの版式を経験した会社は国内ではおそらく中西印刷のみであり、同社は国内の学術印刷物の業界において長い歴史をもつと同時に、印刷技術の先端を走る企業としても評価されています。
今回、中西印刷株式会社の現専務である中西秀彦氏をお招きし、印刷の歴史と業界の展望をお話しいただきました。講演は時系列順にまとめられたスライドを使っておこなわれ、15世紀のグーテンベルク印刷機のしくみから、中西印刷創業時の模様、活版印刷導入当時のようす、DTPと呼ばれるコンピュータシステムの導入経緯、最小100部単位での印刷が可能なオンデマンド印刷にいたるまで、平明なことばで紹介していただきました。参加者は短い時間に印刷技術の変革を垣間見ることができました。