タイポグラフィーによる頭の体操

2011年度 第1回 情報メディア学科ワークショップ

カテゴリー
ワークショップ
開催日時
2011年6月11日(土) 13:15 ー 17:00
場所
情報メディア演習室3 知徳館1F C164
講師
二コール・シュミット氏

REPORT

「お気に入りのCDジャケットを文字のみでリデザインする」ことをテーマに、ヘルムート・シュミット・デザインのニコール・シュミット氏によるワークショップが開催されました。

グラフィックデザインというと、とかく派手な図形、ユニークなイラストや美しい写真などを連想しがちですが、じっさいにはそれらと同じくらい「文字」が重要な役割をはたしています。そこで今回は、国際タイポグラフィー様式にのっとった文字組みを習得するための練習として、文字をつかった「頭の体操」をおこないました。

まず、グラフィックソフト上に、CDジャケットと同じ12センチ角の正方形をつくります。その中にアルバムタイトル、アーティスト名や曲名などを自由に配置してゆきます。ただし、使用してよい書体はGaramond、もしくはGill Sansのいずれかで、文字サイズは9ポイントというしばりがあります。今回は文字の大きさと文字間隔は変えず、あくまで文字の配置と行間の変更、グルーピングのみでデザインをおこないました。

はじめ、学生が組む文字のレイアウトはどれも似通っていました。しかし、ニコールさんは学生たちのデザインを一つひとつ丁寧にチェックし、全員に対して個別のアドバイスをされました。文字を組み、アドバイスをもらい、修正し、またアドバイスをもらう。この作業が繰り返されましたが、そのうち学生のデザインに変化が生まれはじめました。

今回重要視されたのはデザインの結果ではなく、文字の組み方にどれほどのバリエーションがあるのか、自分自身で試行錯誤し、頭を柔らかくするということでした。アドバイスの最中、ニコールさんは何度も「分類」「関連性」といったキーワードを口にされましたが、決して学生に何らかの方法を押し付けることはありませんでした。

この、傍目からは地味に見える「文字組み」という作業がどれほど興味深いものだったかは、学生の列が一分たりとも途切れなかったことから分かります。ワークショップ後にとったアンケートの中に「自分の頭がどれほど凝り固まっていたかが分かった」といった学生のコメントも見られました。

デザインという静的な作業にもかかわらず、終始にぎやかなワークショップとなりました。参加者20名。

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