「5 women’s eyes」at msc gallery in 同志社女子大学
「5 women’s eyes」at msc gallery in 同志社女子大学
- カテゴリー
- 作品展示
- 開催日時
- 2011年10月4日(火)ー10月28日(金)
- 場所
- mscギャラリー 知徳館 1F C163
- 出展者
- 山沢栄子氏、石内都氏、赤崎みま氏、垣本泰美氏、多田ユウコ氏
出展者プロフィール
山沢栄子
1899年大阪生まれ。当時女性が美術を勉強できた唯一の東京女子美術学校日本画を卒業。YWCAの紹介をへて、戦前単身貨物船でアメリカに渡り、カリフォルニア・オブ・ファイン・アーツで油絵を学ぶ。アルバイト先を女性写真家コンソエロ・カネガのスタジオにした事から、写真に出会う。1929年に帰国。大阪堂島ビルに ポートレートスタジオを開設。アメリカ帰りの写真家として、サントリーの佐治氏や建築家の村野藤吾などが顧客であった。戦争中は長野に疎開。1945年に戦災でスタジオを焼失。進駐軍の仕事なども行う。ポートレート写真家として活躍を続けたが、1960年60歳を期にスタジオをしめ、自らの作品製作に集中した。1994年に初の回顧展を開催。1995年逝去。2012年山沢栄子の人生を演劇にした「女性写真家・山沢栄子(仮題)」が上演予定。
石内都
1947年群馬県生まれ、横須賀育ち。初期三部作「絶唱、横須賀ストーリー」「APARTMENT」「連夜の街」で街の空気、気配、記憶を捉え、同い歳生まれの女性の手と足をクローズアップした「1・9・4・7」以後身体にのこる傷跡シリーズを撮り続ける。’79年第4回木村伊兵衛賞。’99年第15回東川賞国内作家賞、第11回写真の会賞、’06年日本写真協会賞作家賞受賞。’05年「Mother’s 2000-2005 未来の刻印」でヴェネチア・ビエンナーレ日本代表。’09年写真集「ひろしま」(集英社)、写真展「ひろしま Strings of time」(広島市現代美術館)により第50回毎日芸術賞受賞。第3回国際写真センター・トリエンナーレ(N.Y)招待作家。「ひろしま」は沖縄、東京、大阪にて個展。2011年、宮崎、長野、ヴァンクーバーで個展を開催。
赤崎みま
1965年神戸生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン科卒業。同大学ではファイバーワークを学ぶが、写真によるアブストラクトの表現に取り組んだ山沢栄子と幼いころから親交があったこともあり、自分で被写体となるオブジェを作って、それを構成し、撮影するという作品制作スタイルをとるようになる。90年ごろは、リング状の被写体を制作し、照明を演出して撮影した写真を大伸しにして発表するようになった。近年、文化庁の新進芸術家海外研修制度で奨学金を得て、プラハに1年滞在し制作を行った。現在、同志社女子大学の嘱託講師でもある。
垣本泰美
1976年大阪生まれ。日本写真映像専門学校卒業後、成安造形大学造形学部デザイン科写真専攻に編入、卒業している。妹を撮影した「巡り返しの記録」でデビューし、「記憶」「現実と非現実の境界」をキーワードに一貫して少女の不安定な存在感、そこから生まれる特別な力をテーマにしている。上野彦馬賞でグランプリを受賞。作品は清里フォトアートミュージアム日本写真映像専門学校に収蔵されている。
多田ユウコ
1974年大阪生まれ。大阪芸術大学美術学科卒業。BゼミSchooling Systemのあと、写真表現大学の研究ゼミを修了した。日本の伝統文化、伝統芸術において独特の感覚である「間」についての表現のあり方をコンセプトに様々な被写体を捉えている。2007年にはMiO写真奨励賞の10周年記念作品賞を受賞、2008年には上野彦馬賞日本写真芸術学会奨励賞を受賞。最近は映像作品も制作し、幅を拡げている。
REPORT
大阪は江戸堀にあるアートギャラリー “The Third Gallery Aya” の協力を得て、山沢栄子氏、石内都氏、赤崎みま氏、垣本泰美氏、多田ユウコ氏による合同写真展を開催いたしました。
今回は作家が全員女性であり、表現媒体が写真であるということ以外、共通項のない展示となりました。ギャラリータイトルである『5 women’s eyes』は、唯一の共通項を表したものです。しかしこのタイトルには、もうひとつのメッセージが込められていました。
出展者である五人は、すでに各所から高い評価を受けている作家ばかりです。とりわけ山沢栄子氏(故人)と石内都氏は、世界を舞台に活躍されてきた国際的な写真家として知られています。赤崎みま氏、垣本泰美氏、多田ユウコ氏もそれぞれに国内で高い評価を得ており、山沢氏、石内氏につづく新世代の写真家として、今後の活動が注目されています。
しかし、ふだん彼女たちが活躍しているフィールドは、自由表現の場です。そこは表現物のみが評価の対象となる世界であり、作家が女性であることが特別視されるような世界ではありません。彼女たちは純粋に、ひとりの作家として作品を創造しつづけてきました。その写真には当然、ありがちな女性性など存在しません。あるのはただ、強烈な表現力です。
この限られたスペースでそれぞれの作品を解説することはできませんが、彼女たちの作品は観る者に大きな感動を与えることはまちがいありません。そしてまた、そのこと自体が、学生に対する無言の叱咤激励になったように思います。