白井敬尚展 思考する紙面設計—雑誌〈アイデア〉のひみつ

2012年度 情報メディア学科ギャラリー展示

カテゴリー
作品展示
会期
2012年10月1日(月) ー 10月30日(火) 9:30 ~ 19:30
会場
同志社女子大学 mscギャラリー
(京田辺キャンパス知徳館6号棟1階C163)

白井 敬尚氏 プロフィール(グラフィックデザイナー、武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授)

1961年愛知生まれ。株式会社正方形、正方形グラフィックスを経て、1998 年白井敬尚形成事務所を設立。 主にタイポグラフィの分野を中心としたデザインに従事している。また、タイポグラフィ史の研究にも積極的に取り組み、多くの大学・学校でデザイン教育に携わっている。主な仕事に、『タイポグラフィの領域』『書物と活字』『ふたりのチヒョルト』『欧文書体百花事典』(以上、朗文堂)、『秀英体研究』(大日本印刷)、『ユリイカ』(青土社)、『アイデア』(誠文堂新光社)など。 武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授。

REPORT

日本を代表するグラフィックデザイナーである白井敬尚氏の展覧会を開催しました。
白井氏は世界で読まれているデザイン誌である〈アイデア〉をはじめとして、雑誌のデザインやブックデザインを数多くてがけています。また、デザインワークと並行してヤン・チヒョルトなど欧文活字に関する研究など、タイポグラフィを中心としたグラフィックデザイン分野の様々な研究活動も行っています。
今回の展覧会では白井氏の仕事を通して、各々の紙面がどのように設計されていくのかにスポットをあて、雑誌のデザインの思考方法と過程(プロセス)を俯瞰することがテーマでした。展示室内の壁面には白井氏が手がける仕事の一つである雑誌〈アイデア〉紙面のための設計図が展示され、そして室内中央にはそれらの設計図を基に制作され完成した雑誌を展示していました。
白井氏は文字情報を的確に配置・構成するための独自のグリッド(方眼)を制作し、細部まで計算され尽くしたデザイン作業を行っています。展示されているのは、デザイン途中の色指定、書体の指定、台割(ページ構成)の手書きのメモ、紙面構成を視覚化した緻密なグリッドが描かれた台紙、本紙校正の紙面などでした。現在の雑誌や本は最終的にはコンピュータでデザインされますが、そこに至る過程での膨大な手書きのメモや詳細まで計算され尽くしたグリッドからは、白井氏のデザインに対する情熱と真摯な姿勢が伺えました。
学生達は、普段は決して見ることのできない設計図の詳細を見逃さないように間近で覗き込んでいました。中には、完成した雑誌の紙面を片手に持ちながら設計図の詳細を確認し、それらがどのように作られているのかを手許の雑誌と見比べる姿も見受けられました。「奇麗な絵を描く」「格好いいものをつくる」―といった、学生達が思い描く“デザイン”の概念とは異なるデザインの実際のプロセスからは、デザイナーが情報をもとにどのような思考で紙面を設計しているのかが見えてきたかと思います。学生の今後の研究・制作における紙面の設計の重要性を再認識する機会となりました。

■協力
加藤雄一(白井敬尚形成事務所)、樋笠彰子(白井敬尚形成事務所)、大西正一、竹内秀典(countercraftz)〈順不同・敬称略〉

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