中沢あき氏講演会 ドイツ・オーバーハウゼン国際短編映画祭セレクション “短編映画を通して垣間見えるリアルワールド”

2013年度 第1回 同志社女子大学 情報メディア学科講演会

中沢あき氏講演会
ドイツ・オーバーハウゼン国際短編映画祭セレクション
“短編映画を通して垣間見えるリアルワールド”

1954年に創設されたオーバーハウゼン国際短編映画祭(International Short Film Festival Oberhausen / Inter-
nationale Kurzfilmtage Oberhausen)は2014年開催で60回目を迎える、世界で最も古い歴史を持つ短編映画祭の一つである。様々な形式やジャンルを超えた短編映画の独自性を紹介してきた映画祭であり、また映像作品の前衛性や実験性に特に注目することで知られる。また映画文化を通した政治や社会へのアプローチを試みる姿勢がある映画祭でもあり、ドイツ国内では大変重要な文化事業の一つでもある。インターナショナル、ドイツ国内、Youth&Childrenなど複数のコンペティション枠があり、2013年度開催時には6,600本を超える応募の中から選ばれた131本の作品がコンペ枠で、他を合わせると全体で約450本の作品が上映され、観客動員数は約1万8千人であった。日本からも毎年数本がコンペ枠で上映され、また松本俊夫などの日本の映像作家や映画運動を取り上げた特集が組まれるなど、日本とも関わりの深い映画祭でもある。2014年度の開催は5月1日~6日の予定。

【オーバーハウゼン国際短編映画祭】

International Short Film Festival Oberhausen/Internationale Kurzfilmtage Oberhausen
2014年開催分への作品応募受付中。 詳細は以下のウェブサイトにて。
http://www.kurzfilmtage.de

(英語・独語)

カテゴリー
講演会
講師
中沢 あき氏(キュレーター/映像作家)
開催日時
2013年12月11日(水) 15:15 ー 17:45
場所
同志社女子大学 京田辺キャンパス 知徳館 C131
参加対象
在学生および一般 入場無料
お問い合わせ
情報メディア学科事務室
Tel.0774-65-8635

講師プロフィール 中沢 あき氏(キュレーター/映像作家)

日本大学芸術学部映画学科映像コース在学中に、ビデオアートと新たな映像表現をめぐる状況の活性化を目指す映像団体「SVP2」※に参加。以降キュレーター及び映像作家として、インディペンデントシーンから教育機関や公共施設、映画祭やアートフェスティバルなど、国内外の様々な場と形で映像メディアに関わる。2005年、文化庁新進芸術家海外派遣研修員として渡独後、拠点をドイツに移し、2006年よりオーバーハウゼン国際短編映画祭予備選考を務める。作家としても、べルリン国際映画祭、WRO、他世界各国の映画祭、メディアアートフェスティバルにて上映・受賞歴がある。
http://www.svp2.com/

REPORT

「ドイツ・オーバーハウゼン国際短編映画祭セレクション”短編映画を通して垣間見えるリアル・ワールド“」と題して、講演会が開催されました。
講師としてお迎えした中沢あき氏は映像作家としてご活躍であると同時に、2006年からオーバーハウゼン短編映画祭に日本の映像作品の選出、アドバイザーとして関わられています。

今回の講演会では、近年5年のコンペティション部門上映作品の中から選ばれた8作品について、上映と解説を頂きました。
氏によると、オーバーハウゼン国際短編映画祭では、ジャンルや国籍を問わず現代社会や世界情勢に対して社会的・政治的なアプローチをし、なおかつ斬新な手法を用いた作品を取り上げる傾向があるそうです。
そしてその中には普段、映像・映画と聞いて私たちが想像する商業的・エンターテイメント性重視の作品とは異なり、作家個人の視点を重視した「個人映画」と称されるものも多く含まれることを語られました。

今回上映の8作品でも、まずその表現手段の多彩さに驚かされます。アニメーションから実写ドラマ、3DCG、実験映像まで、様々な手法、ジャンルがあり、中には複合的に組み合わされているものもあります。
取り上げられるテーマも様々で、帰還兵の精神疾患の問題や、アフリカ黒人社会の美的基準の西洋化、イスラム教下でのエジプト人女性の生活など、世界の数多の様相の一端が描き出されています。
一見して難解な作品のテーマやコンセプトをひとつひとつ丁寧に説明され、それをよりよく伝えるために作家が施している表現上の工夫についての解説がありました。綿密に練られたコンセプトと手法の先に、現在観た映像作品の形態があるのだということを知り、学生は新たな表現方法を学ぶことができたようです。
最後に、氏はオーバーハウゼン短編映画祭で上映される作品は、作家個人の視点で作られていながらも多面的な描き方をされているものが多く、そこで描かれる社会問題を垣間見ることで世界の問題が浮き上がってくると語られました。

普段の生活では触れられない海外の映像作品と、海外の映像作家たちの制作の姿勢を知り、学生の中で映像作品の概念を広げるよい機会となりました。
参加した学生は、新たな観点に触れ、大いに刺激を受けたことと思われます。

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