水江未来アニメーション原画展

カテゴリー
作品展示
会期
2014年4月16日(水)ー 5月16日(金)
開館時間
9:30〜19:30 入場無料
土日祝および4/30-5/2は休館(5/6振休は開館)
会場
同志社女子大学 mscギャラリー
(京田辺キャンパス 知徳館6号棟1階 C163)
お問い合わせ
情報メディア学科事務室
0774-65-8635

水江未来氏 プロフィール

1981年生まれ。多摩美術大学院でアニメーションを学ぶ。「細胞」や「幾何学図形」をモチーフにした抽象アニメーション作品を多数制作し、主に国際映画祭を舞台に活動をしている。世界4大アニメーション映画祭(アヌシー・オタワ・広島・ザグレブ)すべてにノミネート経験があり、アニマドリード2009(スペイン)では、『DEVOUR DINNER』が準グランプリを受賞。また、第68回ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門(2011)に『MODERN No.2』がノミネートされ、アヌシー国際アニメーション映画祭2012では、SACEM賞(最優秀音楽作品賞)を受賞。最新作「WONDER」は、第64回ベルリン映画祭短編部門(2014)にノミネートされる。他、クライアントワークとして多くのミュージックビデオやテレビ番組のアニメーションパートなどの映像作品を制作。小説の表紙や挿絵イラストなどでも独自のグラフィックデザインを活かして幅広く活動している。日本アニメーション協会・理事。ASIFA日本支部・会員。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース/京都精華大学芸術学部映像コース・非常勤講師。

関連イベント

水江未来氏 講演会 ワンダー・フルな抽象アニメーション!〜水江未来のアニメーションが出来るまで〜

REPORT

日本国内のみならず、世界各地の映像祭などでその作品が高い評価を受けているアニメーション作家・水江未来氏の原画展を開催しました。多摩美術大学大学院でアニメーションを学んだ水江氏は、卒業後もアートアニメーション作品やMV、テレビのためのクライアントワーク作品など多様なジャンルで幅広く活躍されています。今回の展示では、主にアートアニメーション作品に焦点を絞り作品で使われた原画の展示と合わせて代表作の上映を行いました。

今回展示した手書きの原画からは、現代のアニメーション作品の中では特異ともいえる水江氏の制作方法の一端が窺えました。アニメーション作品というと、今では3DCGをはじめとしてコンピュータを駆使した制作を思い浮かべがちです。しかし、水江氏の作品は手書きにこだわり、その原画の精度がアニメーションの動きの礎となっています。作品によっては、同じ原画は一切使用せず、現実とは全く異なる“めくるめく世界”を出現させます。例えば「細胞」は水江氏のアニメーションでは頻出するモチーフなのですが、その一つ一つが細密なペンで描画され、その緻密さや色の鮮やかさに圧倒されます。また、方眼紙に描かれた「幾何学図形」も水江氏がよく使うモチーフの一つですが、無機質な線の中にアナログな質感が伴った不思議な浮遊感を抱かせます。

それらの原画からは、水江氏のアニメーション制作に対する一貫した姿勢が垣間見えます。手書きだからこそ生じる背景の震えや艶かしく時としてグロテスクなキャラクターの動き。静物に生命を宿らす事がアニメーションの原点だとするならば、画面の中でこれほどまでに躍動する細胞キャラクターに生命を与えたのも水江氏に他なりません。自らが創りだした生命が棲まう世界をつくること――これこそがアニメーション作家の醍醐味なのかもしれません。

手書きにこだわる水江氏の仕事の展示は、今後アニメーションの制作・研究を志す学生にとって、アニメーションという表現の可能性について考察する機会を得ることができるものとなりました。

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